いらっしゃいませ。
川崎、元住吉のBARハイドアウトマティーニです。
『グラッパ』はイタリア産のグレープブランデー。
ただ通常のブランデーが白ブドウの果汁を発酵させて蒸留するのに対し、グラッパの場合は白ブドウ・黒ブドウともにワインやブランデーに使用した後の搾りかす(ヴィナッチャまたはポマース)から作られます。
グラッパの歴史に関してはあまり定かではないですが、10世紀頃にワインを飲めない貧しい農民がワインの搾りかすに水を加えて蒸留したのが始まりと言う説があるそうで、イタリアでは伝統的に食後酒として馴染み深くコーヒーカクテルにも使用されたりします。
日本では一部のBARやイタリアンレストランで食後酒として用意されている程度であまり馴染み深いとは言えませんが、意外なところでは某ファミリーレストランで用意されていたりする事で知っている方も居るかも知れません。
ちなみにグラッパと言う名前は英語のグレープと同じ系統の語源であるとか、パッサーノ・デル・グラッパと言う山の名前に因んでいるなどの説があったりします。
製法に関してはEUの法律でグラッパと呼べるものはイタリアで作られたものと言う規定があるようですが具体的な製法に関するものは調べてもあまり出てこなかったので、一般的に知られている限りでは
◆『グラッパ』
・・・ブドウの搾りかすのみを使用し、加水、加糖、再発酵しないもの。
◆『アクアヴィーテ・ヴィニカ(またはディスティラート・ディ・ヴィニカ』
・・・加水、加糖、再発酵をさせたもの。
◆『アクアヴィーテ・ウヴァ(またはディスティラート・ディ・ウヴァ』
・・・搾りかすではなく、皮・種・ワインすべてを纏めて蒸留したもの。
と分類しています。
取り合えずグラッパの製法に関してですが
①ヴィナッチャを発酵
黒ブドウの場合は赤ワイン製造で皮つきのまま発酵する関係でアルコールを残しているのでそのまま蒸留。
白ブドウの場合は皮に残った糖分を発酵させてから蒸留。(*白ワイン製造時に皮の部分は未発酵なので『再発酵』とは異なる)
②蒸留
蒸留はカルダイア(単式蒸留器)とコロンナ(精留塔)を組み合わせたもので一回蒸留するのが一般的とされており、連続的に1度で作るのと別個に作ったものをブレンドする点で正確には異なりますがスコッチウイスキーで言う所のブレンデッドウイスキーに例えるとイメージしやすいかと思います。
③熟成
伝統的には樽熟成をしない無色透明のものが多いですが、最近は樽熟成を施したものも増えています。
*グラッパの製造に関しては人体に有害とされるメチルアルコール問題があったりもしますが、グラッパに限らず果物系の皮や種を多く含まれる『ペクチン』と言う物質は発酵・蒸留の工程でどうしてもメチルアルコールを生成してしまうために残留メチルアルコール濃度に関しての規制があります。
単式蒸留では素材の味を残す反面でメチルアルコールのカットが出来ず、連続式蒸留の場合は沸点の違いを利用してエタノールとメタノールを分離できるものの味が没個性になったりする事がありますが、グラッパの一般的な蒸留方式はその中間の方式。
おそらくEU圏内ではそれで規制のクリアが可能となっているのだと思われますが、日本の規制はEUのそれよりも厳しい規制のため輸入されるものに関しては『製菓用』として飲用と別の扱いになっているものもあったりします。
そこで飲用のグラッパをいかにして作るかと言うところに関して最近では連続式蒸留器を導入する事でメチルアルコールをカットしたり、発酵の段階でフレッシュなヴィナッチャ(搾りかす)を密閉遮光管理する事でメタノールの生成を抑制する方式で規制をクリアしているものも多くなっています。
ちなみにフランスではポマースブランデーを『マール』と呼んでいて、グラッパとの違いはグラッパが変則蒸留の非熟成がメインであるのに対しマールが連続式蒸留で樽熟成がメインであるといった点で違いがありますが、最近のグラッパは樽熟成で個性を補強したものも多く出回っており、使用するブドウ品種や樽の種類などでも違いが見られますが製法的には概ね似たようなものとなっているのではないかと思われます。
かつてグラッパは品質の低い大衆酒としてのイメージが強かった部分がありますが、グラッパにせよマールにせよBARで嗜めるカテゴリーのひとつかと思いますので是非お試し頂ければと思います。
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